漢江のほとりで待ってる


小田切邸の仲里。

「あ!?お久しぶりです。突然ですけど、副社長、責任取ってください!今、高柳専務の兄として、弟の由弦さんを救ってください!少しでも責任を感じてるなら、権力とお金で由弦さんの力になって下さい!」

仲里の電話の相手は慶太だった。

電話口の慶太の返事に、仲里の顔付が急に変わる。

「何も関係がない!?会社の関係性はともかく、兄弟でしょ?才能まで奪っておいて、悪いって気持ちないんですか!命懸けで救ってくださいよ!由弦さんにもしものことがあったら、私あなたを許さないから!」

仲里が叫んだあと、

「私が許そう。由弦のためだ。私の権力と金を使いなさい。見つけてやってくれ、由弦の大切なものを」

仲里の背中に向かって、慶太に、椿氏は語りかけた。

椿氏が言い終わったあと、電話はすぐ切れた。

「ちょ、ちょっと!?聞いてるの!?もしもし?切ってるし!」

呆れる仲里。

「忙しい中、本当に申し訳ない。みんな仕事やすることがあるにもかかわらず、孫のことで迷惑かけて振り回したりなんかして」

椿氏は、三人深々と頭を下げた。

「そ、そんな頭を上げてください!迷惑だなんて思ってませんから。出来る限り協力させてもらいます」

一条の言ったあと、珉珠も仲里もうなずいた。

「ありがとう」

心から三人に椿氏は感謝した。