結婚式当日、やはり由弦の姿はなかった。
一条と仲里は未だ行方を掴めずにいた。
教会にはすでに、招待客が参列している中、珉珠はウェディングドレスに着替えず、控室にいた。
そこへ慶太がやって来た。
「やはり着替えてなかったか」
「副社長……すみません、やっぱり私、結婚できません。あんなことがあった上に、こんな気持ちで神様の前で誓えない。それに私、まだ彼を……」
「分かっているよ、好きにしたまえ。ずっと苦しめてすまなかった。あとのことは私に任せて、早く由弦のとこへ行きたまえ」
「すみません、ありがとうございます」
そう言うと慌てて珉珠は由弦の所に向かった。
そして、由弦に電話をした。
やっぱり出てくれない。
何度かかけてみたが、由弦は出ることはなかった。
珉珠は一条に連絡をした。
すると、彼も由弦を探していて、臨時株主総会のあった十四日の夜から、連絡がつかないと言い、また仲里からも連絡があったことを知る。
珉珠は一条と会うことに。
そこに仲里も来た。
仲里は、珉珠を見るなり、「やっぱり青木さんでした!」と笑って言った。
「えっ!?」
「あのままほんとに副社長と結婚してたら、青木さんのこと見損なうところでした」
苦笑いをした珉珠。
アトリエにはいない、思い出の場所も一応調べたが、形跡はなかったと一条は言った。
三人で心当たりある場所を考えて、意見を出し合っていると、珉珠のスマホにメッセージが来た。
見ると母からだった。



