漢江のほとりで待ってる


日付は変ってしまって、由弦の誕生日。

本家では、そのことを誰もが忘れていた。

自分達の解任のことや結婚式を控えていて、それ所ではなかった。

「解任されて、これからどうするつもりですか、あなた」心配気に雅羅は言った。

「これが由弦の望んだことなら甘んじて受けるしかない。何とかなる」

「私は納得いきません!記憶がなくても、彼女を好きなら、なぜ好きだと言わなかったんだ!」

不満いっぱいの慶太は怒りが抑えられないようだった。

「分かっていながら、言えなくさせてしまったのはお前じゃないのか?お前は再び暴走したんだ。由弦に何をしたか省みなさい。その上で、青木君と結婚するか判断しなさい。どちらにしろ、お前は、青木君の将来にも傷を付けたことを肝に銘じておくんだな」

「嫌です!」

「慶太!」

「なぜです!私と珉珠君の結婚を認めてくれたではありませんか!誰が反対しようと私は彼女と結婚します!」

「馬鹿なこと言うな!恥を晒すつもりか!会社を追われた身で堂々と挙式など出来ると思っているのか!目を覚ましなさい!」

「恥!?そんなこと微塵にも思っていません!むしろ堂々と胸を張って臨みます!」

「いい加減にしないか!慶太!」

そう言うと慶太の横っ面を思いっきり叩いた。