一条は由弦を一人放ってはおけず、とりあえず、落ち着いた場所へ連れて行った。それから弦一郎に連絡を入れた。
弦一郎はとてもは安堵していたようだった。そして一条に深く感謝し、くれぐれも由弦を宜しく頼むとお願いした。
それと、必ず戻って来るよう念を押した。
「別れてしまえばいいのにとか、もしくは早く月日が流れて彼女を忘れてしまいたいとか思った。けど、好きになりかけて、忘れるどころか、止めようとすればするほど気持ちが大きくなって、どうにもできないほど、彼女への思いが抑えられないんだ」
窓の外には、そばに川が流れ、黄葉した山々が見える、川のせせらぎと、風に葉が揺れる音しか聞こえない、そんな静かな一室で、由弦は辛い胸のうちを吐いた
「高柳……」
「どうにもできないって分かってるのに!日増しに青木さんへの思いが募る。いつも本当に欲しいものが手に入らないんだ」
「……」
「こんな女々しい自分が嫌になるくらい、辛い……」
「……」
一条は黙っていた。
何も言わず、泣いてる由弦を見ないふりして、そっと傍にいた。
それしか出来なかった。



