漢江のほとりで待ってる


この報道に呆れ返っていたのが、マーケティング部の仲里だった。

「仮にも弟が失踪してる中、しかもまだまだ会社も大変な時に、こんなことがよく言えたもんだわ。副社長ってもっとマシな人かと思ってたら、薄っぺらい男だったのね。結局自分さえ幸せだったらそれでいいんじゃん!」

「仕方がないわよ、今まで高柳専務の注目が凄かったもの。今はそれを押しのける勢いで副社長が脚光を浴びてるんだから。きっと自分には一生有り得ないくらいに思ってたことが、今起こっているのよ?高柳グループの後継者とは言え、ここまで取り上げてもらえないもの。かなり嬉しいはずよ?」

と江南課長が同情気味に言った。

「それでも人として信じられない。その婚約者になった青木さんの気持ちも疑う!例え高柳専務の中に、青木さんの記憶がなかったとしても、高柳専務はずっと好きだったはず、絶対!でなきゃ専務はいなくなったりしないと思う。高柳専務は明るく振舞ってるけど、本音を言わない人だもん、自分の気持ちより他人を優先する」

「だから、専務と青木さんは、二人は似ているのよ。互いのためと思ってやったことが裏目に出てしまう。本音をぶつければ遠回りすることもなかったと思うのよ。でも、仲里さんは、高柳専務の気持ちよく分かるのね?もしかして~!?」

「ち、違いますって!そ、そんなんじゃありませんから!応援してるんです!ファンの一人に過ぎません!」

「あらそう!?失恋じゃないことを祈るわ?」

仲里は江南と話ながらも、由弦と珉珠のことを気にしていた。