そんな珉珠の気持ちをよそに、世間では、この所不祥事続きの高柳グループから、現在、信頼回復に必死に努めている中での、長年育んだ純愛と絶賛し、めでたいニュースにお祝いムードだった。
「高柳兄の努力が実を結ぶ」と持ち上げ、立ち直ったなど、慶太を密着取材した。
そのため、由弦が失踪したことなど知る由もなかった。だから、大手菓子メーカーが、由弦が驚異的な回復をして退院したと知り、以前依頼していた、お菓子博覧会の総合プロデュースを、また引き受けてほしいと依頼して来た。
弦一郎は、その話が来た時は、「由弦は忘れられているわけではなかった!」と思いとても嬉しかった。
でも、その依頼された肝心の本人がいない。
「返事に少し時間がほしい」と先方に断らずに伝えた。その傍らで由弦を必死に探し回っていた。
慶太は、今まで脚光を浴びることがなっかた自分に、世間が注目していること、また、罪を犯した自分が、心入れ直し、犯罪に手を染めた実父を支えながら、育ての父との間で懸命に生きて頑張っていると、称賛する報道が嬉しかった。
少し舞い上がっていた。
さらに、珉珠を手に入れた。今度は強引でなく、素直に自分の気持ちをぶつけて、それを彼女が承諾した。
今自分に神が降臨したとさえ思っていた。
「罪は消せる!やり直しではなく、無かったことに出来る!」そんな自信までついた。
弟、由弦に関して記者から聞かれると、
「弟がいたから今の自分がある、彼はかけがえのない存在だ!彼にも祝福をされ、結婚へ向けて着々と進めている」などコメントしていた。
慶太の描く正義のヒーローのシナリオは、正義感に溢れた、頼りがいのある兄になること。
なりたかった自分になるまで、あと一息のところまで来ていると、慶太は思っていた。



