「珉珠君、大丈夫だ!手を尽くしているから必ず見つかる!」
慶太は弱っている珉珠を励ました。
「はい……」
珉珠は自分を責めていた。
由弦がいなくなることなんて、考えもしなかったから。
確か、あの時病室で、由弦が自分に何か聞こうとしていたのを思い出した。
「青木さん……青木さんは今、好きな~」
—————— まさか!?由弦、私に好きな人がいるかどうか、聞こうとしてたの?でもし、いないと言ってたら、あなたはどうしようとしてたの?私に好きと?私は好きな人がいる!私の好きな人はもちろん……
もしも、記憶がなくとも、自分を好きでいてくれたなら、彼の目の前で酷い仕打ちをしてしまったかもしれないと、珉珠は悔やんだ。
何度も由弦のスマホに電話を掛けてみるが応答はない。電源が切られたままだった。
週末になると、由弦が来ているかもしれないと、あの教会や厩舎へ何度も行ったりした。
思い出すのは、エトワールに乗って自分を迎えに来てくれた、由弦の笑顔。
「この角度が一番好きなんだ」自分にお気に入りの場所を教えてくれた由弦。
そこへ行くと幻さえ浮かんでくる。
惜しみなく、自分を好きだと言ってくれた彼の声が頭から離れない。
「由弦どこにいるの!お願いだから戻ってきて!」
珉珠の願いも虚しく、一度も姿を現すことはなかった。



