「由弦!由弦!大丈夫!?由弦!由弦!しっかりして!」
誰かが遠くで呼んでいる。
気が付くと、一番に珉珠の顔が飛び込んで来た。
彼女は心配気に由弦の顔を覗き込んでいた、手はしっかりと由弦の手を握りしめていた。
周りには、慶太や美桜もいた。心配そうにみんなこちらを見ている。
意識がしっかりとして、自分の手を珉珠が握りしめていることに気付いて、思わず彼女の手を振り払った。
そして、「大丈夫」と由弦は顔を背けて答えた。
「あ、ごめんなさい」
珉珠が手を握ったことに謝った。
「少し疲れたから休みたい」
由弦はボソッと吐いた。
「そうだな、無理をさせてしまったな、すまない由弦。ゆっくり休んでくれ」
そう言うと、慶太は、沈んでいる珉珠を連れて出て行った。
珉珠の薬指の指輪が、現実を突きつけた。
「何でこんなに、苦しいんだろう。美桜がいながら、オレは一体何を望んでるんだろう。純愛を貫いた、か……やっぱり二人は付き合ってたんだな。それでもオレは……」
胸がとてつもなく苦しかった。
―――― 諦めよう!はじめから、縁のなかった人なんだから。あの人とは何もなかったなんだから、オレの一方的な感情だから、早く忘れよう!
自分に言い聞かせた。
少し落ち着いてから、
「さっきの映像は何だったんだろう?」
思い返してみたが、それが何か分からない。
この日から、これを多々繰り返した。
由弦はフラッシュバックを起こしていた。
でも、精神科の医師には何も相談しなかった。



