漢江のほとりで待ってる



その日の夕方、珉珠は招待された高柳家に来ていた。

時間になっても、由弦が来ないことに雅羅はしびれを切らせ部下に由弦を探すよう命じた。

珉珠は、落ち着かなかった。

慶太の検体を得るため、必死で隙を狙っていた。

慶太がコーヒーを飲みほしたコップを、辺りを見渡しながら、誰にも見つからないように、そっとビニール袋に忍ばせた。

それから、トイレに立った振りをして、バスルームへ移動して洗面台にある慶太のハブラシも、念のためそっと別のビニール袋に忍ばせた。

―――― はぁ~、私、人生で初めて窃盗してしまったわ!

今までに味わったことのないスリリングな体験をした。まだ油断はできない!ここを出て一条に渡すまでが任務!

珉珠はうまく理由を付けて、その場から離れ、一条の所へ向かった。

そして無事、珉珠は一条に、採取した!?検体を渡した。

一条はすぐにそれを研究所に持ち込んだ。郵送なら菌が繁殖してしまって検体をダメにしてしまう恐れを回避するために。

雅羅は、慶太と珉珠の婚約式の発表するため、わざわざ二人を呼んでいた。

その由弦と珉珠がいないとなると意味がなかった。

けれど、例の件が彼女の強みであったため余裕だった。

世間が慶太と珉珠の結婚を騒ぎ立てれば、由弦を会社から追い出せると強気だった。