珉珠は、塗れた髪を拭きながら、由弦に何度も電話した、が応答はない。
「由弦……まだ雨の中を歩いてるの?風邪をひいてしまう。どこにいるの?お願いだから出て」
あの一件以来、由弦とはまともに話せていない、のに久しぶりに会えたと思ったらあんな形での再会。
ちゃんとご飯は食べているのか、眠れてるのか、彼が孤独に耐えている時に抱き締めてやれない、傍にいてやれない、不甲斐ない自分に嘆いた。
珉珠は何度も何度も由弦に電話した。
でもやっぱり出てくれない。
「はぁ~……」
ソファに座り込む珉珠。
その時、雅羅の言葉が頭を過った。
「私と副社長が結婚!?馬鹿げてる!後継者!?由弦が邪魔なの!?彼はそんなもの望まない!全て由弦を追い出すための計画?母まで巻き込んで?そこまでしないといけないの?」
珉珠には、由弦を追い出す彼らの本当の理由を知らない。
彼らの欲と嫉妬に絡んだ秘密を。



