漢江のほとりで待ってる



由弦の疑惑が晴れないまま、大手菓子メーカはお菓子の博覧会の総合プロデュースを、クリストファーに決定した。

「このままでいいんだろうか……」

クリストファーは迷いの中にいた。

自分の絵画展が大盛況のうちに終わり、その後、面白いように仕事の依頼が舞い込んで来る。

話がうまく行けば行くほど怖くなって行った。

自分の手元にある企画書は、喉から手が出るほど欲しかった、羨ましくて憎らしかった才能の持ち主のもの。

盗んだ企画書を使って、お菓子の博覧会のプロデュースをしても、彼の世界観は描けない。

この先、高柳由弦にゴーストになってもらわない限り、やって行く自信もない。

―――― 一体本当の自分はどこにあるんだろう……

けれど、掴みかけた栄光を手放せないのも事実だった。

クリストファーが葛藤する中、

「もう今更引き返せない!行き着くところまで行くしかないんだよ!もしこの嘘がバレたら、名声はおろか、君は二度と筆を握れなくなる!それを覚悟の上で新たな才能を手に入れたんだろ?」

慶太は冷ややかに彼を追い詰めた。

その言葉は、クリストファーの胸に大きな打撃を与えた。

犯した罪の大きさを自覚させるほどの、自分の中で大きな地鳴りがして、激しく自分の足元が揺らぎ、地面が裂けて行く。

その境目に、二度と戻れない罪過の渦に、引きずり込まれ、堕ちて行くような気がした。