今日こそは……


今日こそは勇気をだして
話しかける!!


抜けるような青空の下
私は、そこへ向かい
一歩を踏み出す。

足元の玉砂利が音を立て
心臓が口から飛び出しそうだ。

ぎゅーっと胸元に
バッグを押し付けて
半分程に縮まった距離に
心臓の鼓動が体内に反響する。

がーーーーー

……あ゛

「すいません。コレお願いします。」

あと数メートル先だというのに
目的の場所は、男女数名の
グループの背中で覆われて
しまった。

……う゛……


こうなると、もう進めなくて
私は行き先をかえ、トボトボと
鳥居へ向かい歩き出した。

今回もダメだった。

情けない気分で溜息をついて
胸に押し付けたままのバッグ
…ポーチというべきか…を
しまいこんだ。

いつになったら、私は
自分の趣味を始められると
いうのか…

そもそも極度の人見知りで
仕事以外では引きこもり気味で
これではいかんと自分を
奮い立たせ、お一人様で出来る
ご朱印収集を趣味にしようと
決めたのだ。

だけど、そもそもが
コミュニケーション下手で
ご朱印を頂こうにも、窓口に
たどり着けた試しが無い。

1、昨今のブームで
直前で人様に追い抜かれる。
2、御朱印窓口?の人が若すぎて
気後れする。もっとご年配の方を
所望する。
3、神社が、開店休業なのか
私の間が悪いのか、敷地内に
関わらず、神社関係者に
全く遭遇しない。

これらの理由で10件近く
行ってみたが、私の御朱印帳は
まさかのおニューのままなのだ…