シェヘラザード、静かにお休み


ひょいっと抱えられて、有無を言わさず家の中へ入る。

「マリアさん、お湯の用意」

「ああ、はいはい」

呆然としていたマリアに声をかけると、ぱっと弾けたように動く。
シーラを抱えるルイスの横を通ってバスルームへと向かった。

「……お邪魔してます」

「ああ、どうぞ」

猫のように抱かれて向かい合ったままシーラは言った。

リビングへ行き、ふかふかとしたソファーの上にシーラを乗せた。それにしても猫を抱くくらいに軽かったな、と思ってルイスは傍に立ったまま尋ねる。体重のことではない。

「お前、いくつ?」