雨は止んだが、まだ朝日の昇らない薄暗闇の中でシーラは考えていた。
襲われるという心配は最初からあまり無かった。それは自分にとって好条件だが……。
もしかして男色家なのかもしれない。綺麗な顔をしているわけだし。
助手席に戻って自分の膝に腕をついてその寝顔を観察した。
ルイスの財布を奪い、車を出て森を抜ける。それから泊まれる場所を探して、そこで生計を立てられるだろうか。
いや、そんな心配よりも先に裸足で森を抜けられる可能性の方が低い。
途中で野生の獣たちのおやつにされてしまうだろう。
ここで一番最善の選択をしようじゃないの。



