シェヘラザード、静かにお休み


その薄い肩に毛布を掛けて、ルイスも反対の窓の方を見て目を瞑った。



暗い雲が雨も城の炎も取り去って、どこかへ消えた。
最初からそこにあった透き通った青が澄んだ空気を降ろす。

遮るもの無く射し込んだ太陽の光に、ぴくりと眉を顰めてカッパーの瞳を開いた。

その眩しさに顔をシートへと埋める。ベッドだと思っていたその固さにハッと目を覚ました。

身体の上にかけられた毛布に、隣にあったはずの温もりを探す。

……いない。ここにいた、はずなのに。

外は疾うに晴れている。朝陽が眩しく、水滴のついた葉に反射した光がキラキラとしている。