シェヘラザード、静かにお休み


空箱になったそれをダッシュボード中に放る。

「何か話してくれないと眠れない」

「……5歳児かお前は」

「つまんない、眠れない」

「煩い、早く寝ろ」

「ねえ、寒い」

ルイスは再度起き上がり、後ろから毛布を掴む。その前にシーラが飛び込むようにしてルイスの座席に移った。

ぎょっとしてルイスが避けるが、その必要もなくシーラはそこへ収まった。

想像していたよりもずっとシーラの身体は細い。

「ここで良い」

先程のルイスのようにシーラはルイスの方へ背中を向けて丸まった。

もうシャム猫にしか見えない。