先程まではなかった。
青々とした葉が光も碌に当たらないこの牢獄へと喜々として入り込んだというのか。
「ずっとあったわ。もしかして見えなかったの?」
「ここにどうして植物が入り込むんだ。罅は入ってても分厚いコンクリートと鉄で、」
「私を求めてきたのよ」
ルイスの言葉を遮り、シーラは言い放つ。
「意味が分からない」
「そのままの意味」
「理由は」
「知らない方が良いこともあるわ」
なんだっけ、とシーラは考える。
そうそう、
「知らぬが仏って言うでしょう?」
すとんとルイスが椅子に腰掛ける。
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