シェヘラザード、静かにお休み


「私とルイスが王女様を見つけたのよ。そして、城へ運ぶ手筈だった」

「なるほど。じゃあ攫わなくても待てば良かったのか。そして、僕は君を態々ここまで運んでしまった、と」

「そうなるわ。私は貴方と話す為に来た」

シーラは足を組むのを止めた。オリバーはその青い瞳を見る。奥に鋭く光る宝石が見えた気がした。

「僕はないよ。それに失敗した人間に二度は無い」

「あら、どっちにしたって王女はここへ来るわ。結局貴方は話し合わないといけなくなる」

「僕は暇じゃない。タダで話し合えると思っているのか?」

シーラの座る椅子の一歩離れた場所へ立っていた女は少し顔を顰める。