シェヘラザード、静かにお休み


ボスと呼ばれた男が話す。ボス、ということは。

「王女様、お帰りなさい」

多分、オリバーだ。

女がシーラの後ろに周り、目隠しを取る気配がした。視界が広がり、その明るさに一瞬目が眩む。

目の前には書斎机。その奥に座るのは、シーラとそう変わらない程の歳に見える、男。

「初めまして……ん?」

椅子から立ち上がり、書斎机に身を乗り出し、地べたに座りこむシーラの顔を覗いた。

「君、王女様じゃないよね。つーか、シーラ・リスターじゃない? 前に革命に失敗して捕らえられた」

え、と女から声が漏れるのが聞こえた。