シェヘラザード、静かにお休み


アメリアは車の窓へと視線を向けた。

親がいない生活とは、どういうものなのだろう。

遠くで大きな爆音が聞こえた。
車にブレーキがかかる。

「なんだ?」

ルイスが窓を開けて、その方向を見る。
城の方向から、煙が上がっていた。

「……暴動が始まったのか?」

「暴動って、誰が、どうして」

アメリアはルイスに尋ねる。イーサンも同じく窓の外を見ていた。
確かに、城から煙が上がっている。

「シーラが話していたんです。そろそろ王族側についていた人間からの暴動が起こる、と」

予言者なのか、魔女なのか。