シェヘラザード、静かにお休み


酷く嫌な予感を覚えた。

「……二人はここで待って。何かあったらすぐに車で逃げてくれ」

ルイスは車のキーをイーサンへ渡す。アメリアは何か言いたげに口を開くが、それより先にルイスは中へ入ってしまった。

夕闇に包まれた洋館は、少し不気味だった。
電灯がひとつも点いていない。

一階のリビングへ足を運ぶ。ガタガタと何かが動く音に、ルイスは電気を点けた。

「マイケル?」

L字型ソファーの脚に手足を結ばれ、口にも布が巻かれていた。

「何があったんだ」

何かのプレイ中? と、ここにシーラが居たら尋ねていたかもしれない。しかし、今は姿がない。