シェヘラザード、静かにお休み


「次期女王にひとつお願いしたいのだけれど――」







シーラが隣の部屋へ戻った後、アメリアはぐにゃりと背中を曲げてソファーに丸まった。
イーサンは目をパチクリさせた。

「お疲れですか?」

「考えているの、いろいろ」

「国のことですか?」

「イーサン」

視線を向けた。アメリアは起き上がり、自分の前髪を梳く。十代女性にしては、やはり大人びている。

「シーラさんと"あんな"約束をした私を、最低だと思う?」

蜂蜜色の瞳の奥が揺れている。
イーサンはシーラの方が最低だと思った。