シェヘラザード、静かにお休み


パンッと乾いた音がした。シーラの手を叩くようにして握り、ガッと両手で掴んだ。

痛いくらいに握られ、シーラは少し顔を歪める。

人生で一番かたい握手となっただろう。

「それに、私は貴方を巻き込む。イーサンも、ルイスさんも、もっと沢山の人を巻き込むでしょう」

「ええ」

「だから、どうか、よろしくお願いします。私に協力してください」

手を離し、シーラが立ち上がりワンピースの裾をちょんと持った。
片足を引き、少しだけ屈む。カーテシーである。

「仰せのままに」

シーラが顔を上げて、アメリアを見る。それから少しだけ困ったような表情をみせた。