シェヘラザード、静かにお休み


思考を巡らせているルイスを見て、マイケルは口を開く。

「知らないで、本家に呼んでいるのか?」

返す言葉を探す。どう答えても墓穴を掘る気がした。
だからと言って、マイケルに本当のことを話して巻き込むのはリスクが大きい。

外はまだ雨が降り続いていた。

「……知らない、というより思い出せないんだ」

これは本当のことだ。どんなに幼くとも、シーラに出会っていたなら気付くはずだ。
あんなに綺麗な青い瞳を持つ人間とは出会った記憶がない。

シーラの方もそんな話を一度もしたことは無かった。

いや、分かっていて、知っていてしなかったのか?