シェヘラザード、静かにお休み


寝ているのだから、聞くことは出来ないだろう。
冷静になり始めた頭で思った。

「さっきは悪かった。変に感情的になって……酷いことを言った。ごめん」

「寝てる人に謝ってもムダよ」

「お前とイーサンは、どこか似てる」

紡がれた言葉に、シーラは起き上がる。
眠るのは一旦中止だ。

「……似てるわ、とても。同族嫌悪を感じるときがある」

「俺には、それが羨ましく感じるときがあるよ」

羨ましく。シーラはずっと感じていた。

"そっち側"にいたかった。
でも、居たら今"ここ"にはいなかった。

ルイスはしゃがんでいたので、シーラより視線が下にある。