シェヘラザード、静かにお休み


そして、勝った感情は。

「そんなに怒らなくても良いじゃない。それとも、私があの執事と脱走を企ててるとでも考えてるの?」

挑発するように言った。怒り半分、恐ろしさ半分だ。
ルイスは顔色を変えない。

「知り合いだったのか?」

「え?」

「イーサンと、街を出るまでの間でやけに親しくなったじゃないか」

「何よ、ルイスとのバディを解消してイーサンと組むんじゃないかって心配なの? 信用が無いわね」

「実際問題、お前はそうやって脱獄した」

その言い分に、シーラはスイッチの入る音がした。
ではなく、堪忍袋の緒が切れた音だった。