シェヘラザード、静かにお休み


「私のこの気持ちに、見返りなんていらないの」

肩を竦めてシーラはイーサンに笑った。イーサンは後ろ手に扉を閉める。

そして、その表情が少し戸惑っているのが見て取れた。

「どこへ行ってたんだ」

シーラはすぐにその声の方向へと顔を向ける。

「……空の様子を見に」

ルイスが腕を組んで壁に寄りかかっていた。その目が据わっていたので、返したシーラの声も固くなる。

「今の状況、分かってるのか?」

「分かってるわ。勝手に行動してごめんなさい、今度からはきちんと報告してから行きます」

靴を脱ぎながら答えたシーラ。