アメリアとイーサンの関係を目の当たりにして、どれほどイーサンが羨ましいと感じたか。
シーラは、隣にいるのなら、意味が欲しかった。
「物語の前提として、勇者が結ばれるのはお姫様と決まっているじゃない?」
雨が酷くなる。天空の雲を風が運び去って行く。
「あんたはあの男を好きじゃない、と?」
「私はルイスを好きじゃない、愛してるの」
そう言って、シーラは扉を開けて中に入った。
「愛と恋の違いを知っている? 愛はね、見返りを求めないことなんですって」
イーサンはその後ろから扉を支えて、シーラを先に入れる。



