何の話だ、と先程イーサンが言ったのが視線で返ってきた。
「あの男に対する期待も」
「ええ? 貴方だって知ってるでしょう、ルイスは貴族だし、私は庶民」
檻を挟んで言った言葉が今ブーメランとなってくるとは。
シーラは嘲笑した。
「囚人と牢屋番以外の関係で出会ってたら、私は話もしたくなかった」
身分の違いが、境遇の違い。
檻を挟んでいた時は、まだ良かった。でも、それを抜け出した今はどうだろう。
ルイスの別荘へ行き、幼い頃のルイスを知り、身分を知った。
劣等感の塊をルイスは隣に置いて車を運転したのだ。その上、宿泊代まで出そうとする。



