シェヘラザード、静かにお休み


脚の上に落ちたシーラを抱き上げて起こす。警戒しながらミラーを覗いた。

「おい、エンストか?」

隣まで車がやって来て、開いた窓から話しかけられた。

返事を考えるのと同時に、ルイスは視界でアメリアとイーサンの姿を捜した。

「いえ、雨が降ってきたのでこれからどうしようかと、彼女と話していたところで、」

「ルイス? ルイスだろ!?」

大きい声にか、内容にか、シーラの肩が震える。
シーラはそちらに顔は向けず窓に反射する二人の様子を窺っていた。

「……マイケル」

「そうだよ、お前本家に帰ってきたって言ってたけど全然姿もないしさ」