その返答の仕方を肯定と取った。
「いえ、部屋を出てから戻ってくるまでの時間が長かったので」
「カマをかけられたのですか」
「すみません」
謝ったが、その言葉にさして重みは感じなかった。イーサンはルイスを窺う。
「どうして彼女はあそこに住み込んでるんですか?」
その顔は、シーラよりも読みにくい。酷く分厚い壁がある。
「……金を貯めたいとかで」
「切羽詰まってるんですね」
「俺は反対したんですけど」
はあ、と短い溜息。イーサンはシーラが何故自分に体術を教わりたいと言ったのか分かった気がした。
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