イーサンがルイスを買い出しに誘ったことに深い意味はなかった。
アメリアとイーサンはこの街に来てから同じ部屋に寝泊まりしている。それは金銭の為でもあり、防犯の為でもあった。
だから、偶にアメリアを一人にさせることが必要だった。
確かに危険が伴うことは承知だが、ずっと二人だと気が滅入ると考えた。尤も彼女がそんなことを口に出すことはしない。
昔から、とても我慢の出来る子だった。
「昨夜、シーラと会いました?」
徐に口を開けたルイスが尋ねる。
「聞いたんですか?」
彼女が自ら昨夜の話をするとは思えなかった。あの女は聡い。自ら墓穴を掘るような真似はしない。



