ノックの音が聞こえた後、シーラは扉を開けた。
「来てたのか……え」
食料を持ったルイスが中に入り、シーラの向こうに見えた泣き顔のアメリアに表情を固める。
「シーラ、何かしたのか?」
「とても感動するお話をしてあげたら涙が止まらなくなってしまったらしいわ。ねえ?」
その確認はアメリアに対するものだったが、証明してみせたい相手はイーサンの方だった。
部屋に入ってアメリアの様子を知った瞬間から殺気を放っていたから。
「ええ、シーラさんお話が上手なので」
それを聞いてルイスは呆れる。アメリアとシーラを二人きりにあまりしない方が良いと思っていたが、特に障害はないのだろうか。



