それでも、一度だけアメリアの首にかけることを許してくれたことがある。
優しい母だった。優しい父だった。
国民から良くは思われていなかったかもしれない。
でも、アメリアにとっては唯一の、他にはいない家族だった。
アメリアが貧富の差をなくそうと思っていた理由のひとつに、家族がある。
自分がそう動くことで王国のバランスがとれると思っていた。
「……私の考えは甘かった」
「……そうね。でもきっと、甘いのは貴方だけじゃない。こうして革命が起こったのも、王女様家族"だけ"の所為ではないわ」
全ては、争いが起こってから軋み始めていたのだ。



