シェヘラザード、静かにお休み


名前を呼ばれてシーラは理解した。

"全てばれている"この男には。

「そういう顔をするな。あんたが彼女に何しない限り、俺があんた"達"に手を出すことは無い」

「私は言葉を違えない。彼女に危害を加えることはしない」

イーサンは再度シーラの顔を見る。

表情が消えていた。昼間にこにこと笑っていたシーラはいない。

同じく炭酸を買ったシーラと共に商店出た。

「あの男とは、牢屋で知り合ったのか?」

夜空には星が散っている。しかし、二人の間にそれを楽しむような空気はない。
シーラの視線は地面を這っていた。