雨は二日間、続いた。 ルイスが椅子に座ると、シーラはベッドで膝を抱いてルイスの方を向いた。 「ねえ、面白い話の用意はできた?」 「ない」 「ルイスには婚約者はいないの?」 こんなご時世だが、国民は王族に対する不満を除けば至って普通の生活を送っている。 「……いない」 「居たらきっと婚約者はこんな仕事辞めて欲しいって言うでしょうね。危ないし、きっとお友達には話せないわ」 シーラは肩を竦めた。 ルイスは遥か昔のことを思い出していた。 「でも、今の間はなに?」 鋭い。勘なのか、観察なのか。