シェヘラザード、静かにお休み




夜遠し祭の灯りは消えなかった。

「綺麗ね……」

アメリアはベッドに乗ってカーテンの端から外の様子を窺っていた。
その横顔は子供のようで、そういえばまだ二十歳にもならない子供だったとイーサンは思い出す。

この世に誕生して十七年しか経っていないのだ。

彼女は息苦しく生きてきた。それから逃げてここまで来て、隠れるように生活していた。

それ以上、何を求めると言うのか。

「イーサン?」

「下まで、水を買ってきます。戸締りお願いします」

はーい、と返事をした。

二人はルイスの隣の部屋で寝泊まりすることにした。