シェヘラザード、静かにお休み


既に終了したやりとりに、シーラは閉口する。

「ほら」

ルイスが差し出したアイスと引き換えに、シーラは金を出す。

「シーラ、それはツケといてくれ」

「え? ツケって払う方が言うものよ」

「最後に全部請求する。それで文句はないか?」

ルイスの提案に、シーラは顔を上げた。納得した顔を見て、ルイスは一人安堵した。

少し溶けたアイスを受け取り、木陰に座って少し休憩を取ることにする。
小さな紙スプーンを咥えたシーラの横に座り、ルイスは周りを見回した。

祭前日の雰囲気で、皆浮足立っている空気だ。