シェヘラザード、静かにお休み


それが特技なのだろうか。それとも、そうして生きてきたからか。

「何でも上手くこなす。出来ないことの方が少なそうだ」

「それは褒め言葉かしら?」

「ああ、勿論」

いつも通りのルイスの声に、シーラは一瞬だが嬉しそうな、それはもう年相応な笑顔を見せた。

「ありがとう。ルイスの評価の仕方、私好きだわ」

「評価?」

「私を賢いと言ってくれた」

その言葉はしっかりと心の中にしまわれている。

ルイスはフォークを持ったままシーラの顔を見つめていた。

「何か?」

「いや、午後は自由か?」

イエス、とシーラは答える。
今日は午後から情報収集だ。