にこーっと微笑んだシーラは立ち上がり、「ご注文承りました」と言って厨房の方へと引っ込んでいく。

本当に猫みたいな女である。

「彼女、お兄さんの恋人かい?」

近くのテーブルについて地域新聞を広げていた老人がルイスに話しかけた。

「いえ、そういうのでは」

「ここら辺じゃあ見ない顔だね。来てまだ日が浅いだろう」

「ええ、そうなんです」

人を捜しに、と付け加えようと思ったが、昨夜の会話が蘇る。
もしも、王女たちの方が先にルイスたちの存在に気付き、違う場所へ逃げてしまったら。