モーニングひとつ、と仏頂面で注文が入る。
「コーヒーと紅茶どちらになさいますか」
「コーヒーで」
「……眠れてないの?」
その不機嫌模様からか、顔色の悪さからか、シーラはルイスの顔を覗いて眉を顰めてみせる。
「ベッドが硬かったとか?」
「ああ、その通りだ」
朝の店内はそれなりに空いていた。ウエイトレスと客のお喋りも殆ど気にならない程には。
シーラは店長の目を盗んで、するりとルイスの目の前の席に座る。
「牢屋のベッドに一度眠ってみたら良いわ。その快適さに目が冴えるから」
「それは眠れるのか? 眠れないのか?」



