シェヘラザード、静かにお休み


そう言ったシーラは足の指先を見つめる。

「何言って……」

「あなた、早めにここを辞めた方が良いわよ」

「お前の仲間が暴動を起こすのか?」

「そんな可愛いものじゃないわ。国民よ」

ルイスは眉を顰めた。いかにも信じ難いという顔。
それを見て、シーラは肩を竦めて微笑んだ。

「信じなくても良いのよ、別に」

「……根拠がない」

「もしもそれにルイスが巻き込まれて傷ついたら嫌だな、と思ったから口に出してみたの」

それだけ、と付け加える。

顔を上げたルイスはシーラの髪の毛が肩から零れるのを見た。