ちら、とシーラの膝の上に乗せられた本へと視線が注がれる。

別宅の書庫から持ってきた最初の一冊だった。

「ええ、勿論。だって私に睡眠を邪魔されたくないでしょう?」

それは確かにそうなので、何とも言えない。

ルイスが口を噤んだのを見て、シーラは苦笑する。

「アメリア王女、王族の一人娘、17歳? 若いわね」

「お前がそれを言うのか」

シーラとは5歳差なので、ルイスとは10離れていることになる。

「きっと来年は外の国の王子と結婚させられてるか、この国の有名どころと結婚しているかのどっちかね」

窓を閉めて、車を出す前にルイスから渡された資料を見た。