偶に青々とした葉が入ってきて、シーラの肩に止まる。
「迷子になったら、どうするの? 誰かが見つけてくれるのを待つの?」
ハンドルを握るルイスに尋ねる。まるで迷子になったことのない人間の質問だ。
「俺のときは、獣に追いかけられていつの間にか家に辿りついていた」
「獣?」
「野良犬か熊か。幼い頃の記憶だから、風の唸りとかに追われていたのかもしれない」
シーラは静かに微笑んだ。膝を抱いて、窓の外を見る。
風の唸りではない。
きっとそれは、これからもルイスを守るモノたちだろう。
「ところで、それは持ってこないといけない物か?」



