この気高き猫は少し首を傾げてみせる。
しかし、顔を隠す為には必要だ。シーラは元囚人であり、普通にしていても目立つ。
「お気をつけて」
「ええ、マリアさんも」
玄関でシーラとマリアの別れを前にしていた。幼い頃から見ているルイスよりもシーラの方が別れ難く見えるのは気の所為だろうか。
「ルイスさん、終わったらきちんとこちらにも顔を出してくださいね」
「はいはい。行ってきます」
「シーラさんもきちんと連れてくるんですよ。洋服もあるんですから」
小さな声で、シーラの聞こえないくらいの声で凄まれた。
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