シーラとルイスは"城で会った"とマリアには説明した。そうとなれば、牢屋番をしていたルイスと出会ったシーラも城で働いていると考えるのが普通だ。
「いいえ」
答えたのはシーラだった。
続く言葉で、二人の運命が左右されると言っても過言ではない。
「私は何度かお城へ届け物をしていて、そこでルイスに会ったの。街の花屋で働いていて、ちょうど花を届けた後だったんですよ」
さらりと滑らかな嘘だった。マリアはその青い瞳を見つめる。
「本当ですか?」
「ええ。私は孤児院育ちなのでお城に勤めることは出来ないですから」



