その警戒心の無さに疑問を感じないこともないが、それよりもマリアが来る前にシーラの部屋から脱出しなければ。
目だけで時計を探す。そういえばこの部屋に時計は置いていない。
ゆっくりとベッドから身を起こして、素早くシーラに毛布をかける。いつものように顔を毛布に埋めていた。
それに安堵して、静かに部屋を出て自分の部屋に戻る。
「……ああ、そうだ」
王女捜しの件でシーラと話をしていたら、どんどん話が脱線した。
というより、シーラはあまり自分の話をしたがらない。
そちらに矢印が向くと、上手く躱して方向転換してくる。



