シェヘラザード、静かにお休み


シーラは窓の方を見ていた。しとしとと雨が降っている。いつもより少し薄暗い空。

「私が次、外に出るときは死ぬときだもの」

実際、ルイスは外部で雇われた衛兵だった。シーラの言った通り衛兵が足らないから。
しかし、それは犯罪者が増加したからという理由だけではない。

衛兵が次々と辞めていったからだ。

「あ、ねえ、砂田屋のアイスクリーム食べたことある? 美味しいのよ」

「アイスって……」

「あら、私だって可愛い女の子なのだから。あそこのバニラは絶品なの」

いつものお喋りが始まった。