シェヘラザード、静かにお休み


開かれた窓から、風がゆっくりと入ってきた。
二人の頬を撫ぜていく。

「なんて言うと、ルイスは気負ってしまうんでしょうね」

「今考えてる」

「考えるまでもないじゃない」

カッパーの瞳をシーラへ向ける。ルイスは考えていた。

「お前は頭が良い」

「ええ、どうもありがとう」

シーラはそれを見返すことが出来なかった。

「お前が行きたい場所はないのか? もしも革命が成功していたらやりたかったことは?」

「忘れちゃったわ」

「シーラ、こっちを見てくれ」

ベッドの下には深い河でも流れているのだろうか。