シェヘラザード、静かにお休み




その日は雨が降っていた。

シーラは外で降る雨の音を聴きながら目を瞑っている。牢に入って2週間が過ぎた。
ルイスは本を読みながら、シーラが静かなのは珍しいと思っていた。

いつもはルイスが来た途端に話し始め、面白い話をしてくれと言うのに。

「21日ぶりの雨ね」

シーラが目を開くと、暗闇の中に青が灯った。

「数えてるのか?」

「勿論。ここに入って2週間。私の扱いに上が困ってるのも分かる」

ルイスは口を閉ざした。

「ルイスは城内部の人間じゃないのね。制服が違う」

ベッドの上で両足を抱く。ルイスの前に牢屋番をしていた者とは制服が違った。